分光学、線形代数、関数解析、可換環論

わかっているのかどうかわからないのでとりあえず書いてみるメモ。具体的な環でザリスキ位相の例示ができるようになるまでは粘る予定
何かを相互に区別のつく成分に分解してそこからくみたてなおすという方法論を一言で示すのが「スペクトル」(spectrum)という概念である。区別のつく成分であれば順番は適当につければよいのだが(無限個あるときは選択公理のお世話になるはず)、自然な順番(距離)がある場合もある。

白色光をフーリエ解析したものが分光学で言うスペクトルで、自然現象としては虹、実験的にはプリズムや回折格子で得られる。太陽にもナトリウムなど地上と同じ元素があることは太陽光のスペクトルが黒体輻射のような連続スペクトルでなくところどころ黒く抜けがある(フラウンホーファーの暗線)という観察から判明した。なお黒体輻射も実際に連続ではない(無数のエネルギー準位=有理数全体のようなものらしい)

経済学の「再帰的方法」といって、もつれた線形差分方程式系をほぐして(対角化して)時間発展させて(得られた対角行列を n 期なら n 乗したのを掛けてやる)からまたもつれた状態にするといった事をやるとか、経済学じゃ要らないだろうけどそれを無限次元でやるとか言うことがあり同じくスペクトル分解と呼んでいるらしい。もちろんフーリエ解析で三角級数にした関数を積分したい場合にも「高周波(短波長)成分」が結果を左右しないかどうか知りたいので同じことをすることになるんだろうと思う。数値解析で反復法による積分の演算精度の議論でスペクトル半径の話をするのも同じこと。

で、有限次元の場合の対角化可能かどうか、無限次元の場合のそれに対応する何か、が重要になる。なんか非負行列は性質が良いとかそういう話があった筈で。

可換環論の場合は多項式を「素因数分解」(整式分解、というちゃんとした名前があるけど)して互いに「素」(disjoint、じゃねえよ、coprime)な式にばらしてその整式の一部をとって組み上げたイデアルたちは順序集合(じゃねえよ、半順序)になるけど、これらのイデアルの基底になる整式たちを Spec とか書いている。多項式じゃなくても整数環のスペクトル Spec(Z) は {0} ∪ 全素数、になる。