渕野昌先生の話を聞いてきた

神戸大学サイエンスカフェ 第68回「ゲーデル不完全性定理と無限の研究としての集合論」の信用できないメモ。渕野先生のスライドがアップされてるのでそちらを参照したほうが良いです。
http://scicafe.h.kobe-u.ac.jp/schedule/258.html
http://kurt.scitec.kobe-u.ac.jp/~fuchino/misc/kobe10-05-15-pf.pdf

第一部。数学と無限の関係。BC6Cピタゴラスの定理は無限の三角形全てについて成立。
BC4Cユークリッド素数が無限に存在するという定理。素数が有限個しかないと仮定して背理法
19C、Cantorの集合論。Mannichfaltigkeiten?という単語を最初は使っていた。この単語はいまは多様体論で使う[といってたような気がするけど勘違いかも]。
その後Mengenlehreに。∈関係だけで全てを表わせる。たとえばA⊆Bは∀x(x∈A→x∈B)
\mathbb{N} → \mathbb{Q} の bijection の例示。上半平面の格子点(x>0)をy/xとしてジグザグ。約分して同じになる点は飛ばす。
(Q:x>0に限るのが納得いかない。A:y/(x+1)とすれば同じことなので本質的ではないです)
Diagonal Argumentの説明。1873(明治6)/12/7、\mathbb{N} → \mathbb{R} が bijection ではない事の発見。「集合論の誕生日」(Kanamori)
Dedekind 宛の手紙に残る史実。(Q:論文になったのはいつなんですか?A:数年のラグで論文になってるはずです)
集合論が他の数学と違うとこ。数理論理学を使いまくる。超限帰納法を使う。順序数の詳しい話は時間切れ。


第二部。1930年、ヒルベルト。我々は知らねばならない。我々は知るであろう。
集合論がこける(矛盾する)と全数学がやばい。矛盾とは、非整合性。φと¬φが両方証明できてしまうこと。
有限の立場。有限的演繹。弱い理論(初等解析、弱い算術、[後の質疑で出たユークリッド幾何とか])の無矛盾性が示された。
だがこの同じ会議でゲーデルが発表したのがincompleteness。(会場から当時24歳との指摘)。
ヒルベルトは欠席してたがフォン=ノイマンが即座に理解。
初等算術を含むいかなる具体的な公理系に対してφも¬φも両方証明できないφがある。こういうφを独立命題という。
そしてそういう公理系では自らの整合性は証明できない。

集合論[ZFC]には独立命題がある。人工的なものだけでなく、意味のある自然な命題も。測度論からの例。真であると考えられる集合論の独立命題αを集合論に加えた集合論+αにもまた独立命題がある。等々。
集合論は矛盾してないとは論理的に断言できない。ただ独立命題を加えたもの[より矛盾に近い]を宇宙人みたいな人が検討しても矛盾が出てないのだから大丈夫と考えられる。状況証拠もある。
数学の新たな知識は限りないが、不可知ということとは違う。数学はオープンエンド。


質疑はちゃんとメモれてません。