怒られたら消します1

プリンストン高等研究所 数学部門
ファインホール、プリンストンニュージャージー

1936年10月3日

親愛なるウラム*1

お手紙を頂きありがとうございます、マリエットも私も近々プリンストンで貴方と再び会えることを喜んでいます。10月10日、あるいはそのへんのどこか、ご都合の合う日に(我々としてはそのあたりが都合が良いのですが)我々のところに滞在されること、それもできるだけ長く滞在されることを、期待、する次第です。

測度論を現代的に書き直そうという貴方の計画に全面的に同意します。カラテオドリによる測度論の説明*2はおそらく現存するものの中では相対的に一番ましでしょうが、救いがたく時代遅れです。徹底して現代的な、大いに組み合わせ的であってできるだけ位相的でなく、有限および無限直積を多用し、そして(なによりもまず)測度をできるだけ体積としてではなく確率として解釈するような測度論の説明は、実際素晴らしいものになるはずです。少なくとも私はいまある文献にはこういう観点がひどく欠けているとよく思うのです。貴方の本の体裁や長さはどうなるでしょう?草稿の一部でも拝見できると嬉しいです。1933/34年と1934/35年に私がここで「線形作用素」の講義をした際には、なにがしか上記のような精神で測度を扱おうと努めましたが、測度が自分の主な関心事でなかったという事によって十分には果たせませんでした。

私は貴方の一般積作用(general product-operation)についての草稿も大変楽しみにしています。

こちらへおいでになった際に貴方が指摘したものやほかの幾つかの数学的問題について議論することを期待しています。その時までには貴方の仰っていた私の2年ものの草稿も掘り起こしておきましょう、現在開梱中ですが、発掘の進捗はすごく順調というわけではないので。

近日中に再びお会いできることを、マリエット共々心より願っております。

衷心より

ジョン・フォン=ノイマン*3

*1:[訳注] 彼がスタン、とファーストネームで呼びはじめるのはこの後の時期

*2:[訳注] Algebraic Theory of Measure and Integration (AMS Chelsea Publishing)

*3:[訳注] John Von Neumann's: Selected Letters (History of Mathematics), p.249