ラディオガルダーゼ自験例

要旨:放射性セシウム体外除去剤「ラディオガルダーゼ」には、セシウムおよびタリウムの糞便中への排出を促進し、滞留期間を短縮する効果が認められている。
福島第一原子力発電所事故後に「汚染状況重点調査地域」として指定された千葉県A市に居住し、事故後15ヶ月にわたって当該地域周辺の農産物を主として摂取し、動悸(心電図および血圧に異常なし)、早朝覚醒、各部の筋肉痛、気管支の異常、喀血などを訴える2名の被験者(30代、体重75Kg前後)に対しラディオガルダーゼをフェロシアン化鉄当量で2.5g投与し、経過の報告を求めた。
被験者からは筋肉痛・疲労感が速やか(服用後10分程度)に軽減し、糞便排出まで腹部の若干の不快感があり、その後の睡眠は改善し、動悸については軽減したが完全には症状の消失をみず、喀血については再発していない、との経過報告を得た。
ラディオガルダーゼの作用機序とこれらの官能評価の内容は矛盾しないが、ラディオガルダーゼが血中カリウム濃度も低減することから、服用直後に一時的な血圧上昇による疲労感の改善効果があった可能性もあり、コントロールされた実験での明確化が求められる。
ラディオガルダーゼは筋肉組織に対する放射性セシウムの沈着に対して短期的な効果があり、放射性セシウムの継続的な摂取回避が困難な生活条件における対症療法的服用によって放射性セシウム感受性の高い者のQoL改善が期待できると推測されるが、排出した放射性セシウムの糞便中への濃縮は消化管組織における被曝線量を高め、発ガンリスクを増すものと推測され、またセシウム代謝の加速は結果として積分被曝線量の増加をもたらし、長期にわたる使用によって必ずしも寿命を伸ばすとは限らない可能性がある。このリスクの低減には糞便の線量測定や定期的な潜血の検査がある程度有効である可能性がある。