『ピンのものがたり』異聞

Mike Muuss, The Story of the PING Program (1999)

http://ftp.arl.mil/~mike/ping.html

付録部分です(ちょっとこんがらかるので原文は割愛します)。翻訳の公開について、故 Muuss 氏の関係者に承諾はとっていません。なおこのネタレビューは今も当該書のAmazon.comのページ他、ネットの各地で見ることができます。正直食傷ぎみなのですが。


The book by this title has nothing to do with networking, but that didn't prevent a reader from Upper Volta, Uzbekistan contributing this short but delightful review, which was was briefly seen at the Amazon.Com bookseller web site, and is saved here as part of the story about the other ping. *grin*

表題の本はネットワーク技術とは無関係ですが、その事実はウズベキスタンは Upper Volta の一読者がこの短くも可笑しなレビューを提供することの歯止めにはなりませんでした。以下はごく短い期間、Amazon.com に掲載されていたもので、この別の ping についてのお話の一部としてここに再録します(笑)。


ピンのものがたり(The Story About Ping)
Marjorie Flack(作), Kurt Wiese(絵)

詳細情報:
ペーパーバック: 32ページ
出版社: Puffin; Reissue; Open Market Ed版 (1977/08)
言語 英語, 英語, 英語
対象: 4 - 8歳
ISBN-10: 0140502416
ISBN-13: 978-0140502411
発売日: 1977/08
商品の寸法: 22 x 17.8 x 0.6 cm

商品の説明:

揚子江のちいさなアヒルのお話、『ピンのものがたり』は、きれいなたくさんのさし絵のついたかわいくてたのしい本です。いつものようにピンは、すごくおおぜいの家族と住んでいるおうちのお船を出て、「すてきなたべもの」を探しに行こうとします。ところが、お船は行ってしまい、ピンはひとり取り残されてしまいます。勇気のあるピンは、家族をさがして揚子江に向かいます。ゆくさきざきであたらしいともだちと冒険が(そしてちょっぴり怖いことも)待っています。

すばらしいさし絵で春の揚子江があざやかによみがえります。ピンの家族、ピンが仲間になる鵜の群れ、それに忠実な船と漁師たち。しっかり声を出して読んであげてください。『ピンのものがたり』は全ての小さい読者に絶対おすすめです。(絵本)

商品の概要:
こども向けの古典。「Kurt Wiese と Marjorie Flack は、『ピン』で出自(揚子江)にとらわれない偉大な個人としてのアヒルの子の姿を科学的正確さと魅力を備えた形で描き出している」(ニューヨークタイムズ書評)。フルカラー挿絵つき。

カセットテープ版の概要:ある夜、飼い主の船に乗り遅れたアヒルの子が、揚子江の冒険の旅に出る。

カードカタログ用の概要:ある夜、飼い主の船に乗り遅れたアヒルの子が、揚子江の冒険の旅に出る。

お客様のレビュー:


一読者、Upper Volta、ウズベキスタン、1999年3月7日

優れた、心打たれる探検と発見の物語です。巧みな寓意で、著者らはUNIX の由緒あるネットワークユーティリティーについて示唆に富む直観的な説明を与えています。さらに驚くのは、それらが極めて初期のバージョンでもきちんと動いていたことです。というのもこの本の初出は1933年で、UNIXとそのネットワークインフラが整備される(何十年も!)前だからです。

この本でネットワーク技術の説明は子供にも理解できる言葉で書かれています。根底にあるパケットの構造を擬人化するようによく考え抜かれたものです。ping パケットは、一羽のアヒルに擬され、ほかのパケット(アヒル)とともにある期間ホストマシン(the wise-eyed boat)上にとどまります。毎日同じ時刻に(私は cron で定時実行しているのではないかと思います)、小さいパケット(アヒルたち)はホスト(船)から送出され、ブリッジ(橋)へと向かいます。橋から、パケットはインターネット(揚子江に擬されています)をめざして旅してゆきます。

表題になっている主やk‥、じゃない、パケットは、Ping と呼ばれています。Ping はまがりくねった河を、別のホスト(別の船)に受信されるまで旅してゆきます。そしてそこで短時間経過後、最終的に発信元のホストマシン(the wise-eyed boat)にすこし古びた状態で戻るというわけです。

この本は読者が予想するような多くの決まりきった内容を避けています。例えば、河川を舞台とすることで、著者らは使い古された道具立て、つまりping の洪水(flood)を省いたようです。著者らは巧みにこれを避けています。

どんな人が買うべきか:

ping ユーティリティーについてのちゃんとした、高水準の概説をお求めであれば、この本をおすすめします。技術的観点が負担だったり基本概念に困惑するような多くの管理者の方にはおすすめしません。

この本の問題点:

良い本であるとはいえ、『ピンのものがたり』は欠陥なしとはしません。索引がありませんし、ping(8) の man ページにはコマンドラインオプションについて細かく書いてあるのに、この本での扱いは後回しになっているようです。また、Ping だけを扱った本であってみれば、ICMP パケットの構造についてもうちょっと詳しく書いてあってもいい気がしました。

これらの問題はあるにせよ、『ピンのものがたり』は私の書棚で、Stevens 氏の『詳解UNIXプログラミング』、それにこの変化の激しい業界ではすでに古典的といえる、Dante が MS Windows について書いた影響力の大きい著書『Win32:地獄篇』のすぐ右に収まっています。Windows API についての記述は誰もが大きくうなずきながら読まずにいられないことでしょう(われ正路を失ひ/暗き林のなかにありき/あゝ荒れあらびわけ入りがたき/この林のさま語ることいかに難いかな)。ああ、余談でした。


メリッサ・ロンドゥー、ブレインツリー、マサチューセッツ州、1999年3月11日

UNIX オペレーティングシステムのリファレンス本を集めています。PING (Packet InterNet Groper の略)はその単純さに見合わないほど有用なUNIX コマンドの好例です。同僚が、一冊全部このコマンドひとつについて書かれた『ピンのものがたり』を教えてくれました。一冊全部この UNIX コマンドの歴史について書かれているのに少し驚き、また、とても手頃なお値段だったので、注文しました。届いたのは小さな子供向けの絵本だったので、私は間違えたかな?と思ったのですが、同僚が言うには私をかついだんだとの事。私はこれを仕事で乗った飛行機の中で読んだのですが、これはいままでに私が読んだ児童文学のなかでも最良の部類だと認めます。冒険と無邪気さに満ちた古典的なお話で、学ぶべき教訓を備えています。もともと期待していたのとは違うのですが、ともかく楽しんで読みましたよ。


一読者、ヒューストン、テキサス州、1998年11月25日

すばらしい、古びることのない家族と、冒険と家の物語です昔 Captain Kangaroo がTV でこの本を読んでましたね 30 年くらい前でしたっけ。楽しい本でこどもが責任とか冒険とか家族とか家について理解できるようにできてます。お話は単純明快で、小さいアヒルが、毎晩船に戻るのが最後になることの罰で背中をぴしっとやられるのが嫌さに逃げることに決めて、隠れて、船に一緒に乗らないんです。

ピンは冒険の末に船に戻って家族の元に帰ります。賢く、良い子になって。子供たちと一緒に読みたい、いいお話です。[句読法は原文のそれを反映した]


一読者、[ニュー?]ブランズウィック、[ニュー?]ジャージー州、1998年11月25日

ピンを読んで大きくなりました。今でも好き。私は21歳ですが、子供のいる友人にはこれをプレゼントしています。きれいで、楽しく、すばらしいお話です。