人間の言葉がある制約条件を課した物理的な系の解ならば

人間の言葉がある制約条件を課した物理的な系の解ならば

くだらない思いつきだけど、書いておきます。
Noam Chomskyの言語学のUniversal Languageというのは、言語の文法とか変形規則のような「構造」に2値的なスイッチがあって、それらを切り替えるように「構造」が選ばれる、というもので、この発想は最終的には、言語の「構造」を何かエネルギー的な安定点とみて、謎のラグランジアンを想定するThe Minimalist Programに行き着いた。
もし、人間の言葉がある制約条件の下である漠然とした物理的な系を解いたものだとするなら、自分はひとつ気になることがある。どうも哲学者や言語学者が晩年にアナグラムや地口にはまるといった話を聞くことがあり、といって具体例としてすぐ思い当たるのはSaussure、あとHeideggerくらいなんだけど、以下のような音の類似や頭文字の暗合が偶然なのか、それともこれらが似た響きや頭文字語を持つ理由が何かあるのか、自分は知りたい:

  • いんが(因果)とがんい(含意)
  • ふへん(不変)とふへん(普遍)とふへん(不偏)
  • Artificial IntelligenceとAutomatic Induction
  • Axiom of DeterminacyとArrow-Debreu Securities
  • Quantum ElectroDynamicsとQuod Erat Demonstrandum
  • 追記:mass(ドイツ語で「測度」)と「ます」(升)
  • 追記:mass(ドイツ語で「測度」)とmasse(ドイツ語で「質量」)

音韻的連想の脱抑制、というのは脳の高次機能の不調だと思うと、単にぼけたり電波を受信している、というだけなのかもしれないし、創造的機能として評価すべき面もあるかもしれない

概念の正しい名前

例えばreciprocity(交互作用、互酬性)というのは電磁気学の古い文献に出てくるし(Rayleighが使っているのは見た)、もちろんMaussやLevi-Straussの人類学の鍵概念である。(追記:平方剰余の相互法則のように、数論と幾何学の接点でも現れる概念であり、これはもちろん電磁気学の基盤)
うまい命名をした概念は自然な(人間の想像力で近づきやすい)思考の流れを誘発して、同じようなことを別の分野で考えた場合にも同じ名前が選ばれやすいものだろう。
反対に、重要な概念に(人間の普段の経験が限定されているために想像力がうまく働かず)うまくない命名がなされたせいで、それぞれの分野で別の名前が選ばれるようになり、人類の認識の進歩を邪魔する例もあると思う。
そしてそういうものもコンピュータや生命工学といった技術の進歩で想像力が変化して何か自然な比喩を得る日が来るかもしれない。
だから、たぶん、音の類似や正しい名前といったものは奇貨であって(幾何とは関係ないと思う)むしろそうでないものについて真剣に考えないといけないし、良い名前を選んでくるなり、新しく作るなりといったことも考えないといけないのだろう。

意味のある駄洒落

まあ、頭文字語というのは何か駄洒落でつけるのが普通だろうとは思う。単なる駄洒落(pun)では意味がなくて、それが真理と虚偽の二重性を示しているようなものが良い駄洒落だと思う
Hawkingはくだらない駄洒落をよく言う人で、"The boundary condition of the universe is that it has no boundary." は有名。あと blackhole war の歴史を見ていると他にも、censorship hypothesis が naked に対する掛詞(要するに特異点というものを、ある時期までモザイクをかけたりぼかしたりしないといけないと考えられていた、成人男性の好きな何かに見立てている)
そういえばPoyntingとKillingというのは何か駄洒落的な含みがあるのだろうか。

追記:対句とかそういう対称性への好み

美しい「花」がある、「花の美しさ」という様なものはない、みたいな修辞を使いすぎると文章はどんどん真実から離れていくと思う。
危険性のひとつは、単に人間が関数と対象の対称性とか、非対称性とかを考えているのに、それがそのうち自然そのものの性質であると思い込みかねないところ。
まあ、修辞と認識に明確な線は引けないだろうけど。